相続対策としての養子縁組

相続対策として,養子縁組をお勧めすることがあります。

 相続対策としての養子縁組が力を発揮するのは,次のような場合です。

1.相続税の基礎控除等の増加による節税

2.他の相続人の遺留分を減らしたい

 

 1.については,基礎控除額は,5000万円+1000万円×法定相続人の数で決まります(金額を縮小する改正が,平成24年度に予定されていますが,以下で述べる内容に変化はありません。)

 養子が法定相続人となることで,基礎控除額を増やすことができます。

 また,死亡退職金や死亡保険金の控除額も,相続人一人につき500万円増加することから,相続税額を大きく減らすことができます。

 2.については,遺留分の減少については,以下の例を考えてみましょう。

Aが死亡し,子B,子Cが相続人である場合と,子B,子C,養子Dが相続人である場合を比較しましょう。

 子Cの遺留分は,前者が4分の1,後者は6分の1となります。

 これを生かせば,社長Aが子Bに事業を継がせたい場合,子Bと,事業を支える養子Dに,より多くの財産を与えることが可能となります。

 

 注意点として,孫を養子とする場合は,相続税の2割加算の適用を受け,相続税額が上がります。

 また,相続税法上,養子の数に制限があり,実子がいる場合は一人,いない場合で二人までしか,節税の効果がありません。