2 不動産の評価
⑶ 固定資産税評価額
不動産につけられている固定資産税評価額を基準とするものです。
土地については,一般に,固定資産税評価額は,公示価格のおおむね70%に設定されているため,相続税評価の場合は,一定の倍率をかけて,遺産分割における評価額を算定します。
他方,建物については,固定資産税評価額×1.0(固定資産税評価額と同額)として,相続税評価が行われています。
固定資産税評価額は,税務署ではなく,各市町村役場の固定資産税課で確認することができます。
他の相続人に提示するために,役場において証明書を発行してもらうこともできます。
また,毎年4月頃に市町村から送られてくる固定資産税納税通知書にも,固定資産税評価額が記載されています。
他方,土地の相続税評価に当たり,税務署が固定資産税評価額に乗じている倍率については,税務署において,相続税評価基準書により確認することができます。
固定資産税評価額は,路線価方式での補正のための計算での考慮事項を,おおむね考慮しつつ,定められています。
ですから,一定の倍率をかければ,すぐに不動産の評価額を算定することができるため,路線価方式のような,面倒な補正の計算を行う必要はありません。
ただし,固定資産税評価は,3年に1度しか評価替えをしないため,実勢価格との格差が生じやすいと言えます。