遺産の評価 2

2 不動産の評価
 ⑴ 鑑定
 不動産の評価について争いがある場合は,不動産鑑定士を鑑定人に選任し,不動産の遺産分割時における価額を評価することも考えられます。

 

 とはいえ,不動産鑑定士による鑑定費用については,結局のところ各相続人が負担することになりますし,一部の相続人が不出頭の場合などには,遺産分割の申立てをした相続人が鑑定費用を立て替えなければならないこともあります。
 このため,不動産の価格がさほど高額ではない場合や,鑑定により価額を算定したところで,路線価や固定資産税評価との大きな違いが生じることが見込まれない場合などには,あまり鑑定を行う実益がないことになります。

 

 このため,調停や審判の場においては,路線価や固定資産税評価など,より安価な手法で算定された価額を参考にしつつ,遺産分割が進められることが多いです。
 調停委員などからも,相続人に対して,このような説得が行われることが,しばしばあります。

 安価な算定方法としては,相続税評価の場合に準じ,路線価に基づいて算定する方法と,固定資産税評価額に基づいて算定する方法が考えられます。

 

⑵ 路線価
 路線価とは,道路に価格をつけ,その道路に面している土地を,その価格に基づいて評価したものです。

 

 路線価は,税務署の資産税課に備え付けられている路線価図で確認することができます。
 三重県であれば,路線価図は,三重県立図書館にも備え付けられています。
 また,国税庁のホームページにおいても,路線価図を見ることができます。

 

 ただ,全国のすべての土地につき,路線価が定められているわけではありません。
 路線価は主に市街地の宅地について定められているため,郊外や農村部の土地については,固定資産税評価額などを用いて算定する必要があります。
 建物を評価する場合についても同様です。

 

 路線価に基づいて評価額を算定するに当たっては,様々な補正のための計算を行う必要があり,算定に手間がかかることが多く,税理士や税務に詳しい弁護士など,専門家の手を借りた方が良いことが多いです。