遺言の撤回 3

3 撤回の効力
 ⑶ 遺言の撤回の取消
 遺言Aが作成され,遺言Bにより遺言Aが撤回されたとします。

 

 その後,遺言Bが,詐欺(遺言者を騙して遺言を作成させた場合),強迫(遺言者を脅迫して遺言を作成させた場合)によるものであり,取り消されたとします。

 

 この場合には,単なる撤回の場合とは異なり,民法は,遺言Aの効力が復活するとしています。

 

4 法律上,前の遺言を撤回したものとみなされる場合
 遺言書において明示的に撤回する場合の他に,民法は,一定の場合に,遺言者が前の遺言を撤回したものとみなすとしています。


 ⑴ 前の遺言と後の遺言の内容が抵触する場合
 この場合,抵触する部分については,後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされ,後の遺言が効力を有することになります。

 例えば,前の遺言で,甲土地を相続人Aに相続させるとしていたのに,後の遺言で,甲土地を相続人Bに相続させるとの記載がある場合が,これに当たります。


 ⑵ 遺言と生前処分等が抵触する場合
 この場合についても,抵触する部分については,遺言を撤回したものとみなされます。

 例えば,遺言において,甲土地を相続人Aに相続させるとしていたのに,その後,遺言者が甲土地をBに贈与したり売却したりした場合が,これに当たります。