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遺言書での財産目録の書き方

  • 文責:所長 弁護士 古田裕佳
  • 最終更新日:2021年2月26日

1 遺言書の財産の記載方法

遺言書を作成するとき、どの財産を誰に相続させたいかを細かく記載する必要があります。

ここで注意しなければならないことは、遺言者が亡くなった後に、その遺言書を使って、その後の相続の手続きができるようにしておかなければならないということです。

万一、その遺言書を使って相続の手続きができない場合には、大きなトラブルになりかねません。

公正証書で遺言を作成する場合には、公証人が財産の内容を記載してくれるため、特に気を付ける必要はありませんが、ご自身で自筆の遺言書を作成される場合には、財産の記載方法についても自身で考えて記載する必要があります。

そして、自筆の遺言書について、これまでは全文を自書する必要がありましたが、平成31年1月の法改正によって、全文を自書する必要がなくなり、財産の内容を自書以外の方法によって作成することが可能になりました。

そのため、財産の内容については、財産目録をパソコンで作成して、その財産目録を遺言書に添付するという方法をとることができるようになりました。

この記事では、自筆の遺言書で財産目録を作成する方法を解説していきます。

2 不動産

遺言書において不動産を記載する場合には、亡くなった後に、その遺言書を使って、不動産の登記手続きをすることを意識する必要があります。

そのためには、「先祖代々の土地を子供に相続させる。」というような抽象的な書き方ではなく、きちんと対象となる不動産が特定できることが大切になります。

不動産を特定するための一番確実な方法は、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を利用することです。

インターネットで利用可能な登記情報提供サービスを使って、不動産登記情報を利用してもよいでしょう。

※参考リンク:登記情報提供サービス

遺言でこれらの資料を利用する場合、たとえば、「遺言者は、別紙の不動産を、子である●●に相続させる。」と記載し、遺言書の別紙として不動産の登記事項証明を添付することが考えられます。

ただ、この方法によると、不動産をたくさんお持ちの方の場合には、添付する書類が非常に多くなってしまいます。

そのため、不動産の財産目録を作成して、これを遺言書に添付することが、シンプルで、内容も分かりやすいといえます。

不動産については、登記に記載されている内容を記載するのが望ましいといえます。

そのため、土地については、所在、地番、地目、地積を登記の内容に従って記載していきます。

建物については、所在、家屋番号、種類、構造、床面積を登記の内容に従って記載していきましょう。

たとえば、土地については、以下のように記載します。

1 所在 岐阜市神田町

 地番 ●番●

 地目 宅地

 地積 ●●㎡

2 所在 岐阜市神田町

 地番 ●番●

 地目 宅地

 地積 ●●㎡

なお、建物の中には登記がされていない建物もあります。

このような建物については、市町村から届く固定資産税通知書を利用したり、固定資産評価証明書や名寄帳といった市町村が発行する書類(書類の名称は、岐阜県内の市町村によって異なります)を利用したりして、記載しましょう。

3 預貯金

遺言書で預貯金を記載する場合には、どの口座のことを指しているのかが特定できるように記載しましょう

預貯金を特定するための一番確実な方法は、預貯金の通帳の写し(コピー)を利用する方法です。

ただし、ここでも、口座をたくさんお持ちの方の場合には、添付する書類が非常に多くなってしまうという問題があります。

そのため、ここでも財産目録を作成するという方法が考えられます。

その際には、金融機関、支(本)店名、種別、口座番号を記載することになります。

預貯金の残高は記載すべきではありませんので、記載しないようにしましょう。

なぜなら、口座の残高は、遺言書を作成したときから亡くなるまでに変動することが見込まれるところ、これを記載することで、遺言書の解釈上の疑義が生じる可能性があるからです。

4 その他

上記のほかの財産としては、証券会社に預けている株式や金融機関が扱っている金融資産などがあります。

これらについても、その金融機関で手続きが進められるように、記載する必要があります。

ただ、株式や金融資産については、遺言書の作成後の取引きによって、その内容が変わっていく可能性がありますので、これを意識した記載にする必要があります。

たとえば、特定の証券会社が管理する金融資産を特定の相続人に相続させることにするのであれば、「別紙財産目録中の●●を含む、遺言者が有する●●証券会社が管理している株式のすべてを、●●に相続させる。」といった記載にすることが考えられます。

その他にも、財産目録の記載方法については注意すべき点がありますので、確実に手続きができる内容にするためには、弁護士のアドバイスを受けて作成されるのがよいでしょう。

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