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相続放棄に関する注意点

  • 文責:所長 弁護士 古田裕佳
  • 最終更新日:2023年6月29日

1 家庭裁判所に申し立てる必要がある

相続放棄をするためには、相続放棄をするということを他の相続人や債権者に伝えるだけでは十分ではありません。

相続放棄をする意思を家庭裁判所に申述し、その申立てが受理されることで、初めて相続放棄の効果が発生します

なお、この申立てをする家庭裁判所も、全国のどこの裁判所でもよいわけではなく、亡くなった方の最後の住所地があった場所を管轄する裁判所であると決まっています。

例えば、亡くなった方の最後の住所が岐阜市内にある場合には、管轄の裁判所は岐阜家庭裁判所になります。

そのため、相続放棄をする人が、子どもなどの第一順位の相続人であろうと、第一順位の相続人が相続放棄をしたことで、これ以降の順位の相続人が相続人となった場合であろうと、被相続人が同じである限り、管轄の裁判所は同じということになります。

それゆえに管轄の家庭裁判所は、相続放棄をしたい相続人にとっては遠方である可能性もあるでしょう。

その場合には、郵送で手続きをすることもできます。

2 決められた期限内に手続きをする必要がある

相続放棄をする場合には、基本的に、自らが相続人となったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所での手続きをする必要があります

この3か月という期間は「熟慮期間」と呼ばれるものですが、この期間内に何らの手続きもしなければ、その相続人は相続をしたことになります。

相続放棄をしようと考えていても、手続きが面倒だからといった理由で放置した結果、この期間を経過してしまうと、相続放棄ができなくなってしまい、亡くなった方の多額の借金を引き継ぐことにもなりかねませんので、注意しましょう。

では、この熟慮期間がいつからスタートするのかというと、上で述べたとおり、「自らが相続人となったことを知った日から」です

そのため、被相続人が亡くなっていても、そのことを知らなければこの熟慮期間はスタートしませんし、被相続人が亡くなったことを知っていたとしても、被相続人の子どもや親が相続放棄することで初めて相続人となる兄弟姉妹などの後順位の相続人は、それらの相続人が相続放棄したことを知らなければ、この熟慮期間はスタートしません。

また、状況によっては、相続放棄をするか、相続をするのかを3か月以内に決めきれないという場合もあるでしょう。

そのような場合には、同じく家庭裁判所に熟慮期間を伸ばして欲しい旨の申立てをすれば、この期間を伸長してもらうことができます

ただし、相続放棄をするにしろ、熟慮期間を伸ばしてもらうにしろ、家庭裁判所に、この旨を申し立てる申立書以外にも必要な書類を提出しなければなりません

まず、申し立てる者が、自らが相続人であることを示す必要がありますので、被相続人が死亡したことが記載されている戸籍、相続人自身の戸籍を提出する必要があります。

例えば、相続放棄を申し立てる者が未婚の子であれば、戸籍も最少で済む可能性もありますが、申し立てる者が、被相続人の親だったり、兄弟姉妹だったりする場合には非常に多くの戸籍が必要になります。

なぜなら、そのような後順位の相続人は、被相続人に子どもなどの先順位の相続人がいないことで初めて相続人となるのですから、このことを示す必要があり、そのためには被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要になるためです。

被相続人に子どもなどの先順位の相続人がいたものの、それらの相続人のすべてが相続放棄の手続きをした場合にも、同様です。

さらに、1で述べたとおり、裁判所の管轄を示すために、被相続人の最後の住所が記載された住民票除票や戸籍の除附票などの書類も提出する必要があります。

戸籍は本籍地の市役所などで取得する必要がありますし、役所が、現在、居住している場所から遠方であれば、郵送で取り寄せる必要があるでしょう。

このように必要な書類を取り寄せていると、場合によっては相当な時間がかかってしまうこともありますので、なるべく早めにとりかかるべきです。

相続放棄の手続きは、一度、失敗してしまうと取返しがつかず、場合によっては、多額の債務を負ってしまうことにもなりかねませんので、確実に相続放棄をするために、弁護士などの専門家にこの手続きを依頼することも検討してください

弁護士に依頼すれば、上記のような必要書類の取得や、裁判所への申立書の作成と提出をしてもらうことができます。

3 相続財産を処分してはいけない

相続放棄をする場合には、相続財産を処分してはいけません

相続放棄をすると、その人は相続人ではなくなります。

相続人とはならない者が相続財産を処分することは、法的に許されません。

仮に、相続財産を処分した場合には、相続放棄の効力が覆ってしまいます。

どういうことかというと、相続財産を処分する以上、相続放棄をする者の行動としては矛盾していますので、債権者などの第三者にとっては、そのような相続人は相続放棄をせずに相続したと認識するのが当然です。

そのため、相続放棄の手続きをしたとしても、相続放棄が認められなくなってしまうのです。

これを「法定単純承認」行為といい、民法で定められています。

そのため、相続放棄をしようというのであれば、相続財産を処分することは必ず避けなければなりません。

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